Googleがプライバシーサンドボックスを廃止。その背景と今後について
 
          Googleはサードパーティークッキーに代わる技術としてプライバシーサンドボックスと呼ばれる広告配信とプライバシーを紐付ける新たな取り組みを進めてきましたが、技術面や事業面など様々な課題があり2025年10月に廃止に至りました。
本記事では、プライバシーサンドボックスが廃止された背景と今後についてまとめています。
- Google Chromeのプライバシーサンドボックスの廃止の経緯が分かる
- サードパーティークッキーの問題が分かる
- パーソナライズされた広告について理解が深まる
サードパーティークッキーの問題とは
サードパーティークッキーの何が問題だったかを改めて確認したいと思います。
クッキーと呼ばれるサイトごとにブラウザに小さな保存領域を確保する仕組みがあります。
クッキーはサイト内に読み込まれたコンテンツのドメインごとに発行が可能なので、サイトの内に第三者のコンテンツを埋め込んでおくと、その第三者が発行したクッキーが保存されます。これを利用して複数サイト間で、共通のクッキーを扱うことをサードパーティークッキーと呼びます。
このサードパーティークッキーを利用すると、平たく言えばユーザーが閲覧しているサイトが丸わかりになります。
それらが問題視されるようになり、AppleのSafariやFirefoxは早々にサードパーティークッキー対策に取り組み、利用制限や遮断することで解決しています。
一方、GoogleはGoogle Chromeという世界最大シェアのブラウザを開発しており、Chromeでのサードパーティークッキーに対する対応は、自社のビジネスモデルと相反していることから他のブラウザより出遅れながらも段階的に対応を進めているような状況でした。
Google Chromeのプライバシーサンドボックス
その中で出てきたのがプライバシーサンドボックスと呼ばれる技術であり、パーソナライズされた広告をプライバシーが保たれたまま配信するために、考え出された様々な技術群のことを指します。
基本的なアプローチは、ユーザーの趣味趣向、興味/関心を一定の粒度でカテゴライズするような方法でしたが、ユーザーを特定できるようなフィンガープリントが本当に消えているとは言えない技術的な壁に当たっているように見えました。
また、それらの多くがGoogleのビジネスモデルを補強したり損なわない前提で構築されているものだったことから、他のブラウザベンダーや市場、業界、規制当局からも中々受け入れられずにいました。
そして、2025年10月にプライバシーサンドボックスの廃止に至りました。
サードパーティークッキーは続くのか
プライバシー保護への圧力は強くなる一方なので、サードパーティークッキーが今後も続いていくという未来はあまり想像できません。
推測にはなりますが、「コンテンツやコンテキストに沿った広告を出す」という従来からある当たり前の考え方をベースにAIによるアップデートが入ってくることで、最終的にはAIの影響によりあってもなくても問題ない仕組みに変わっていくのではないでしょうか。
LLMによるAIベースの検索システムや、AIブラウザと呼ばれる新興ブラウザのような流れから、例えばAIの回答などに広告を組み込んだり、今見ているサイトからAI自体がユーザーに見せる広告選んだりすることが可能となるはずです。
そういった手法の広告配信を利用すると、サードパーティークッキーによるターゲティングはあまり意味がなくなります。
しかし今度は、AI企業による広告配信の独占や、新たなAIとプライバシーの問題などが出てくることになるでしょう。
 
         
        

 
         
         
       
      