検索が「調べる」から「実行する」へ
2026 年 7 月、Google は検索の AI Mode(AI モード)に、外部サービスと連携する「Connected Apps」を米国で開始すると発表しました。検索の中で買い物カートに商品を入れたり、デザインを作ったりと、検索が「調べる」で終わらず「実行」までこなせるようになってきました。
- AI Modeの進化が分かる
- エージェント型のAIのことが分かる
AI Modeに追加されたアプリ
Google の公式ブログによると、AI Mode に接続できるのは Instacart(食料品の宅配)、Canva(デザイン作成)、YouTube Music(音楽ストリーミング)の 3 つのサービスです。
3つのアプリでできること
それぞれのアプリでは次のことが実行可能です。
- Instacart:レシピや献立を検索する流れのなかで、必要な食材を買い物カートに追加する
- Canva:作りたいものを伝えると、デザインのテンプレートやたたき台を用意する
- YouTube Music:気分やシーンに合わせたプレイリストを作成し、保存する
いずれも、検索で計画を立ててから別のアプリを開いて完了させる、という手数を減らす狙いだと説明されています。
これらの応答結果は操作可能なインラインカードとして返ります。カードの中で操作が完結するため、外部サイトへ遷移しない体験に繋がります。
Geminiアプリが検索にも使えるように
Googleのブログでは Gemini と接続出来るアプリを検索と直接繫げることができるようにしたと述べており、他の接続可能なアプリが更に増えていくでしょう。
検索のエージェント化
この動きは、検索が持つ役割そのものの変化が始まっているように感じられます。
これまで検索は「調べる」ための入口でした。そこに、操作や購入まで検索行動のなかで完結させる機能が加わりつつあります。ユーザーの代わりに AI が発見・比較・実行を担う、いわゆるエージェント(代理で動くソフトウェア)的な使われ方が検索をベースに実装され始めているということです。
検索の中で操作が完結するということは、外部サイトへのクリックが介在しない場面が増える、ということでもあります。
これは、以前から本サイトでも話題にしてきたゼロクリック検索にも繋がります。AI モードそのもののしくみは別記事で解説していますが、「検索するだけで操作・購入まで完結する」段階に近づいていると感じています。
業界全体で進むエージェント型コマース
さらに、見落としてはいけないのは、これが Google 固有の動きではない点です。「AI アシスタントから外部サービスを直接動かす」というアプローチは、複数の企業が盛んに取り組んでいます。商取引の領域では、エージェント型コマース(Agentic Commerce)という購買機能を担うAIエージェントが消費行動を大きく変えると言われています。
Google の Universal Commerce Protocol(UCP)
Google の UCP(Universal Commerce Protocol、汎用コマース・プロトコル)は、このエージェントによる商取引を推し進める取り組みの一つです。Google Developers Blog によると、UCP は AI エージェントと小売業者・決済事業者のあいだの通信を標準化するオープンな規格です。UCP に対応した小売業者は、AI Mode や Gemini に表示される自社商品に「チェックアウトボタン」を追加でき、Google の画面上で決済まで完結できるとされています。決済手段は特定の 1 社に限定されず、Google Pay や Shop Pay など複数に対応する、オープンでモジュール式の設計とされています。Shopify や Visa、Stripe など多くのパートナーが名を連ね、対応範囲は今後さらに広げていくとされています。
何をしておくべきか
では、我々Web マーケティングや サイトの担当者は何を準備すればよいのでしょうか。
「人」だけでなく「AI」に対しても情報を整理
これまでのサイト運営は、基本的に「人間が読んで理解する」ことを前提にしてきました。エージェント型コマースが広がると、そこに「AI が読んで理解する」ことへの考慮も必要となります。
店頭に例えるなら、お客さん向けの POP を整えるのに加えて、AI という新しい来店客にも分かる商品ラベルを用意するイメージです。
その為に、次のような項目をメンテナンスしておくと良いと思います。
- 商品データフィード:AI に渡す「商品カタログの元データ」のことです。価格や在庫、仕様を一覧にまとめたものだと考えてください。ここが古かったり曖昧だったりすると、AI が古い価格を答えたり、そもそも候補に挙げてくれなかったりします。まずは中身を最新・正確に保つのが基本です
- 構造化データ(schema):ページの内容に「これは価格」「これはレビュー」といった目印を付ける書き方です。人間は見た目で判断できますが、AI は目印がないと中身を読み違えます。付けておくと、機械が情報を正しく拾いやすくなります
いずれも、従来の SEO や EC 運用の延長にある取り組みが、AI にも効果的であると考えます。今まで同様に、良いサイトやコンテンツを作ることが成果に繋がるはずです。
これらに加えて、Google広告の中にもAIを想定した設定が増えてきているので、それらを活用するのも手でしょう。
AIに「伝わる」情報になっているか
今後、重要になるのが「自分の商品を AI がちゃんと分かってくれるか」という視点です。SEOを意識したコンテンツ制作を心がけるだけでも十分ではありますが、これからはAI が人の代わりに商品を探して、いくつか候補を並べて見せてくれる場面が増えていきます。
そのとき、商品ページの情報が古かったり、あいまいだったりすると、AI はその商品をうまく理解できません。すると、比較や提案の候補から外れてしまうことに繋がり兼ねません。
人の目に触れる前の段階で、AI に選ばれるかどうかがある程度決まってくるようになる日が近づいています。
