広告運用にAIを利用。進むMCP対応
広告の管理画面を開かず、チャット欄でAIエージェントに「この広告セットを一時停止して」と頼むだけでキャンペーンが動く。こうした運用が、一部の先進的な企業だけの話ではなくなりつつあります。MCP(Model Context Protocol)への対応で、主要な広告プラットフォームがこの1年足らずのうちに相次いで足並みをそろえました。管理画面での手作業から、AIエージェントへの指示へと広告運用そのものが変わろうとしています。
- AIエージェントを使った広告運用の状況が分かる
広告運用の入口になりつつあるMCP
MCP(Model Context Protocol)は、大規模言語モデル(LLM)が外部のデータやアプリと安全にやり取りするための規格です。AIエージェントが広告アカウントやレポートのような外部システムへつなぐときの、共通のルールだと捉えると分かりやすいです。
従来は各社のAPIごとに個別のプログラムが必要でしたが、各社から提供されるMCPを利用すればその手順を大きく省略でき、広告アカウントという外部システムの操作を、AIエージェントへ自然言語で指示できるようになります。
主要プラットフォームのMCP対応
広告プラットフォームのMCP対応は、少しずつ進んでいます。
Google、Microsoft、Amazon、TikTok、Metaと続いています。
MetaとGoogleについて少し詳しく解説します。
Metaは Meta Ads AI Connectors(Meta広告AIコネクター) を公開しました。
大きく2種類、対話型の ads MCP server とコマンドライン型の Ads CLI を提供しています。Meta for Businessの公式ニュースは、自然言語で広告・広告セット・キャンペーンの作成と編集ができると説明しています。接続はOAuthのみで、開発者認証情報やコーディングは不要とされています。設定手順はMetaのビジネスヘルプセンターで案内されています。
Googleも同じくMCPサーバーを提供しています。こちらは利用者が自前でホストする方式です。ローカル環境やGoogle Cloudなどに自分でデプロイし、利用には開発者トークンやプロジェクトIDが必要になります。手順と仕様はGoogleの公式ドキュメントで公開されています。オープンソースとしての公開は2025年10月にGoogle Ads Developer Blogで告知されました。
広告分析、運用どこまで権限を与えるか
AIエージェントにどこまでの権限を与えるかは各社に差がある状況です。キャンペーンの作成や編集まで対応しているのがMeta・TikTok・Amazonです。一方、データの取得(読み取り)にとどめているのがGoogleとMicrosoftです。Googleの公式ドキュメントでは「この実装は読み取り専用です。入札単価の変更、キャンペーンの一時停止、新しいアセットの作成はできません。」と明記しています。
ただし、どのプラットフォームでも最終的には全ての操作が可能になると思います。
広告運用へ上手く取り込む
実務では、AIエージェントを定型作業やレポーティングの時短に使い、予算配分や停止といった判断は人が実行する、という役割分担が比較的業務に取り込みやすいです。
広告運用がAIエージェントへ移りつつあるのは確かです。そのうえで、任せる作業と手放さない判断を分けて設計する姿勢が、当面は有効ではないでしょうか。
当社でも2026年の初めごろから、各社のMCPサーバーを自前で立て、自社の広告運用に対し試験的に取り入れてきました。いずれも読み取り専用での利用のため、今のところはレポート作成や、施策を見直すための分析への利用が中心となっています。各社が公式のMCPサーバーを整えつつある今、こうした環境へ順次乗り換えながら、より効率のよい広告運用の形を探っていきたいと考えています。
