アドフラウドとは？その発生理由や対策を解説

アドフラウドの一般的な手口

アドフラウドの手口は年々高度化しており、新たな手法も次々と生まれています。ここでは、不正が発生しやすい主なポイントと、その一部のパターンを紹介します。

クリックの不正

もっともイメージしやすいのが、広告に対して大量のクリックを発生させる手口です。

・ボットによる自動クリック
プログラムでブラウザやアプリを操作し、人間が操作しているように見せかけて広告をクリックさせます。IPアドレスを分散したり、アクセス元のデバイス情報をランダムに変更するなどして、検知をすり抜ける工夫がされています。

・クリックファーム（人力による大量クリック）
特定の国や地域で、低賃金の作業者が大量のスマートフォンやPCを使って広告をひたすらクリック・インストールする「クリックファーム」と呼ばれる形態もあります。人間が操作するためボットよりも発見しづらく、広告主からは一見「良さそうな流入」に見えてしまう場合もあります。

このような不正クリックは、広告費だけを消費し、実際の売上やリード獲得にはほとんどつながらないため、広告のROIを押し下げる要因となります。

広告の表示の不正

広告の表示回数を不正に増やす手法があります。

数ピクセルの広告を不可視の状態で表示したり、1枠に複数広告を積み重ねるなどで、実際には見られていない広告表示を水増しする手口があります。

このような手法では、ユーザーは実質的に広告を認識していないにもかかわらず、レポート上はインプレッションが増えます。そのため、「表示回数の割にクリックされない」状態となり、広告のパフォーマンス評価を歪めてしまいます。

インストールやコンバージョンの不正

スマートフォンアプリのマーケティング分野では、インストール数やアプリ内イベントを不正に水増しするアドフラウドも大きな問題です。

Androidのインストールブロードキャストと呼ばれるシグナルを悪用し誤インストール情報を送信しインストール数を水増しする方法によって本来は自然発生的なインストールを、広告経由と偽装して成果報酬を奪う手口があります。

広告主からすると、インストール単価や獲得単価の計算が大きく狂い、どの施策が本当に効いているのか分からなくなるという問題が生じます。

その他の不正

他にも検索スパムを介して広告のみのページへ誘導したり、ブラウザの拡張機能を通じて広告を差し替えたり、様々な手法のアドフラウドがあります。

このように、アドフラウドはクリック・インプレッション・コンバージョンのあらゆる段階で発生し得るため、特定のポイントだけ対策すればよい、というものではありません。

アドフラウドを避ける方法は？

アドフラウドと対策は終わりがないイタチごっこのようになっています。

Googleなどの媒体の各社は、自動化された検知システムだけでなく手動での検知もリアルタイムで実施していますが、それでも完全に防ぐことは出来ていません。

技術の発展とともに手口は巧妙化しており、今後はAIを悪用した高度なアドフラウドも増えていくことが容易に想像できます。

実際に、AIによるreCaptchaの突破事例などからも、「人間らしい振る舞い」を模倣することが可能になってきており、単純なボット検知だけでは防ぎきれないケースが増えつつあります。

一方で、AIは、アドフラウドの検知にも活躍することになるでしょう。

そのような状況の中でも、広告運用者の立場で取れる対策はいくつかあります。

例えば、信頼性の高いサイトにのみ広告を配信したり、異常なクリック率やコンバージョン率がないかチェックすることで防ぐことが可能となります。サイトの回遊性を重視したコンバージョンイベントの設計やそれを重視する運用戦略を取ることで有効な配信先へ優先して広告が配信されるように広告配信アルゴリズムを活用することができます。

そして、異常を発見した時は、迅速にその配信先を除外することで被害を最小限にすることが出来ます。